桜色のzozoi

まだ練馬に住んでた頃、
カフェzozoiは
近くて遠い場所だった。

おしゃれで落ち着けて、
ここにしかない味があって。
好きな人も何度か連れてった。

オーナーはbiceのお友達で、
私の憧れ系オリーブ少女で、
なにより博識で。
いろんな話を聞かせて頂いた。
イベントをやってみたいって、
お話もしてた。

だけどいつしか自分の変化と共に、
余計な感情がたまり。
家からたった3駅のお店が
とても遠い場所になってしまった。

いつ行こういつ行こうと思うほど
3年…5年…と月日は過ぎ、
私も練馬を離れ、
お店も池袋での営業を終えてしまった。

最後まで勇気の出なかった自分を、
不甲斐なく思った。

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もう逢えないかもしれないと思った
カフェzozoiが、
新天地での営業を始めたのは、
今年2月。
場所は淡路町とのことだった。

11月までの期間限定と聞き、
今度こそはとお店に伺うことにした。

慣れない街をさまよって、
都会的なビル群におののきながら、
おしゃれなカフェのドアを
静かに開く。

そこはお引っ越し前より広くて、
より穏やかな雰囲気。
大きな窓からは、
日差しがたくさん降り注いでた。

緊張する間もなく、
オーナーが話しかけてくださった。
ああ…覚えててくれたんだ。
もう気づかれなくてもいいと
思ってたのに。

知らないメニューたちは、
とても懐かしい味がした。
全部zozoiの味だった。

いつまでも変わらないオーナーと
あの頃以上にたくさん話をした。
楽しい話題によく笑って、
悲しい知らせに少し泣いたりもした。

名残惜しくて、ケーキをもう1つ。
あっという間に閉店が近づいて…。
少しあたたかくなった気持ちと共に
陽の当たるカフェを後にした。

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ご縁は不思議なもの。
出逢うべき人には
どうせまた出逢うって、
そうだ、あいつも言ってたよ。

なんでも重く捉えがちな自分は、
全然変われてはいないけど、
あの頃よりはましになった。

歳をとったことで、
人も物も
一緒に歳をとることのありがたさを
知ったから。

重い腰あげて、
出逢いに行かなきゃね。春だし。
桜色のケーキ、
また誰かと食べたいな。