ビーチェを聴きながら

昨日、訃報を聞いた。

http://bice.jp/

 

全然意味がわからなかった。

ただ全身の力がぬけていくのだけがわかった。

昨夜は追悼だとかなんとか言いながら、

佐野元春を聴いたりもした。

https://www.youtube.com/watch?v=kDqhTbBo-F8&feature=share

ちょっと泣いたりもしたけど、

やっぱり哀しいんだかなんだかわからなくて、

無理やり明るい曲を聴いて眠った。

 

今日はbice名義の曲を全曲聴いた。

アナログの日記を掘り起こしながら 観たライブを振り返って、

この日記にでも残していこうと思った。

 

でもたぶんずっとなによりもbiceを聴いてきたから、

今さら振り返ることもない、なんて思った。

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今、ライブのMD聴いてる。

biceしゃべってる。

 

いつの頃からか、なんでも必然だって思って生きてるけど、

今回のことは何を意味しているんだろう。

 

biceは一見単なるおしゃれ音楽SSW、

モデルなんかもやったりして、

ほとんど遅い渋谷系みたいな人だったけど、

中身はひたすら音楽職人だった。

 

「音楽つくるからには、知らない音楽があっちゃいけないと思ってなんでも聴いた」

biceのこの発言は、

長い間自分にとって大きな柱だった。

 

そもそもネオアコギターポップだってほとんど知らなかった頃。

biceがルーツとするものはなんでも聴いた。

わからなくても、何度も聴いた。

そして大好きになった。

Prefab Sproutなんて

まるで自分が見つけたものみたいに大事にしてた。

 

いろんなジャンルの曲をカバーしてくれてた。

ほとんどわからなくて、都度オリジナルを探してまわった。

biceの曲解釈に多くのことを教わった。

 

ライブいっつも行ってたから、

あっちも間違いなくこっちのこと認識してたけど。

でも別にファンアピールするでもなくて、

お互いに目が合うとそらす状態。

ほとんど最近まで。

 

自分にはずっと絶対的な存在で、

距離を縮めたいだなんて まったく思わなかったから。

 

でも嬉しいこともあった。

何年かライブが空いた後の2005年、

その間に自分 洋服大好きになってたけど、

biceその変化に気づいてくれて、

あぁこれで自分もやっとおしゃれ客になれたかなって思った。 

 

近年はめったに表に出てこないのが当たり前になってて、

新曲はおろか、もう一度ライブが

見られるかどうかもわからなかった。

 

まだまだ劇伴とか

聴いてないものはたくさんあるし、

2月の最後のライブもちゃんと観られたから、

別に後悔はない。

 

ただ…

あの頃もっと素直になって

biceの音楽がなにより大事」って、

「一番の憧れ」って伝えられてたら

どんなによかっただろうって。

 

bice、髪の色、ピンク系入れてみたんだけど、

 どうかな?」とか

「最近、アニエスのボーダーばっか着てるよ、

 今さらかなー」とか

「biceTシャツ、

 なんでメンズは暗い色しかないのー」とか

 

「昨日、吉祥寺で

 biceのマネージャーさん見たよ」とか

biceが好きだって言ってた

 オレンジの砂糖づけにチョコかかってるやつ、

 あれハマっちゃったー」とか

bice、あれはどこらへんが洋梨?」とか

bice、なんで今日はサインひらがなじゃないの?」とか

 

どうでもいいこと、

いっぱい話したかった。

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最後に話したのは渋谷のBarfoutイベントの時だっけ。

SEでGiovancaが流れた時、

「あっ、これ好き。

 biceさんが薦めてたから買ったんです」って

そんなこと話した。

『ありがとー。Wouter Hamelもいいよ☆』とか言われた気がする。

「もちろん新譜買うつもりですよ!

 biceさんがいいって言ったのは、

 なんだって聴いてますから。」とか言ったら、

なんか突然恐縮された覚えがある。

https://m.youtube.com/watch?v=WdK5-eyX5s4

 

もっとうざかられても、キモがられても、

伝えればよかった。

あなたにいっぱい教わったし、

あなたの音楽がいつだって待ち遠しかったし、

あなたの音楽があったからこそ

今もこうやって生きてるんだって。

 

哀しくなるのはきっとこれから。

biceの作った曲を全部チェックし終わって、

biceほど行きたいと思えるライブがなくなって、

biceの表情もよく思い出せなくなった頃。

 

でもそんなのは哀しすぎて苦しいから。

 

いつか、できることならbiceくらい

すごいものつくれるように。

今の志を忘れないで、生きていきたいと思うんだよ。

 

この文章を書いて、初めてちゃんと泣けた。

一期一会なんだよ、やっぱり。

失ってからじゃ遅いこともあるんだ。

 

なにひとつ進まない今の状況だけど。

自分はやっぱり今までどおり

生真面目なままで生きてく。

 

自分の宝物は自分。

だから自分の中に宝物をもっと増やせるように。

 

素直に、思うとおりに、生きてくんだよ。